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HETZELIANER

ヘッツェル氏を知るCD選

Commentsページでも詳しく解説していく予定ですが
ヘッツェリアーナが推薦するヘッツェル氏出演のCDを
ここで簡単に紹介しておきます。(
15.Jul 2003更新 G.Weiher)

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1〜3番

ゲルハルト・ヘッツェル(ヴァイオリン) ヘルムート・ドイチュ(ピアノ)
 Pony Canyon/ PCCL-00272

このヘッツェル唯一のソロアルバムは、彼の死の半年ほど前に満を持して録音された。完璧主義の彼らしい慎重さだが、演奏内容も練りに練られた素晴らしいもの。一音たりともおろそかにせずに心をこめて弾き込んでいく彼の誠実さが、奏でる音ににじみ出ている。
これはヘッツェルの演奏すべてに言えるのだが、あまりに激しく深く曲に挑みかかるがゆえに、一歩間違うと技術を犠牲にしてしまうようなギリギリのラインに立っているような瞬間がある。彼は勝負しているのだ。特にこの演奏はソロということもあり、そんな彼の姿がより強く伝わってくる。
つまり我々は、そこにどうしようもなく心を動かされてしまうのだ。

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番

ゲルハルト・ヘッツェル(ヴァイオリン)
ロリン・マゼール(指揮) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
Orfeo/ C589 021 B

ヘッツェル没後10年を記念してオルフェオ・レーベルから発売されたCDで、1984年のザルツブルク音楽祭におけるライヴ録音。まさに2002年の彼の命日当日に、このCDが発売されたとの情報をドイツのヘッツェル・ファンから知らされた時は、天にも上るような気持ちだった。
演奏は期待をはるかに越えたぶっとびの名演。バルトークのこの難解な曲を、これほどまでに明解に弾き切ったのは、あとにも先にもヘッツェルだけだろう。技術的に完璧なのにメカニカルな冷たさは皆無、ともすると無機的に演奏されがちなバルトークの旋律や和音のひとつひとつが、これほどまでに有機的に響くとは!彼は曲に真っ向から立ち向っており、
安全運転しているような箇所はどこにも見当たらない。
ヘッツェルを知りつくしている同僚たちの気合いの入った伴奏、そしてマゼールのシャープな指揮にも拍手を贈りたい。

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第1&2番

ゲルハルト・ヘッツェル(ヴァイオリン)
アダム・フィッシャー(指揮) ハンガリー国立交響楽団
Nimbus/ NI5333

晩年の91年のレコーディングで、ヘッツェルの(ライヴものではない)正規のコンチェルト録音はこれが唯一のもの。2番のコンチェルトはいわばヘッツェルの持ち曲のような存在だが、84年のライヴと比べると、より一層人間的な暖かみを感じさせる。一種のゆとりが感じられるところが、この演奏の凄いところだ。1番も同様で、ヘッツェルの気高い精神世界が垣間見えるかのよう。これでオケがもう少しピリッとしてくれたらよかったのだが...。(6.Jul 2003 更新)

リヒャルト・シュトラウス:ツァラトゥストラはこう語った

ゲルハルト・ヘッツェル(ソロ・ヴァイオリン)
アンドレ・プレヴィン(指揮) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
TELARC/ CD-80167

「ツァラ…」は「英雄の生涯」とともにコンサートマスターの重要なソロが多いので、ヘッツェルの偉業を偲ぶには最適な曲。しかし「ツァラ…」、「英雄の生涯」ともにヘッツェルは一回ずつしかレコーディングしていない。「英雄の生涯」には伴奏(?)のオケに不満がないでもないが、「ツァラ…」はこれ一枚で十分。
名人芸をひけらかすような浅はかな演奏に決して堕することなく、隅々まで温かく血の通った充実の仕上がり。重音はどこまでも透き通り、瞑想的な楽句は我々を宇宙の孤独の彼方に連れ去る。

マーラー:交響曲第4番ト長調

ゲルハルト・ヘッツェル(ソロ・ヴァイオリン)
フレデリカ・フォン・シュターデ(メゾ・ソプラノ)
クラウディオ・アバド(指揮) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
DG/ POCG-4045

マーラー4番もソロが多い。特に2楽章はコンマスがひとりだけ、全音高く調弦したヴァイオリンに持ち替えて演奏するのが聴きどころ。
「もうちょっと深刻ぶってもいいんじゃない?」と思わせるほど、ウィーン・フィルから好きなだけ美音を引き出した若き日のアバド。「それならばっ」とヘッツェルも存分にリーダーシップを発揮。これで名演にならない方がおかしい!
70年代はまだ団員に自発性があり、ヘッツェルがある意味余裕を持って演奏しているのもこの時代の特徴だ。

ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス ニ長調

ゲルハルト・ヘッツェル(ソロ・ヴァイオリン)
チェリル・ステューダー(ソプラノ) ジェシー・ノーマン(アルト)
プラシド・ドミンゴ(テノール) クルト・モル(バス)

ジェイムズ・レヴァイン(指揮) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
DG/ 435 770-2

1991年8月ザルツブルクにおけるライヴ録音。ベネディクトゥスにおける最晩年のヘッツェルのソロは神々しく、もはや人間離れしている。
彼が非業の死を遂げたあと1992年12月にCDが発売されたが、解説書には楽器を構えるヘッツェルの大きな写真と、レヴァインによるヘッツェル追悼の長文が掲げられた。
「...彼の比類ない音楽家魂と、彼が仕事のあらゆる面に注いだ情熱は、私たちすべてに、これからもインスピレーションを与え続けることだろう...」
事実上の追悼盤ともいえるこのCD。毎年7月29日の命日には、全世界のヘッツェル・ファンが、この盤で故人を偲んでいることだろう。

ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調*

ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
DG/ F35G 20114

ヘッツェルは東の血が流れていることもあってか、ドヴォルザークやスメタナに特別な愛情を持っていたと思う。ブチ切れ方が半端ではない。テンションが上がりっ放しだ。誰にも止められない。
カラヤンとのドヴォ8、ドヴォ9は映像でも出ているのがうれしい。しかし我々は残念ながら持っていない(追記:両曲のDVDは後日無事入手しました)ので、愛知芸術文化センターまで鑑賞ツアーに出かける。午前に8番を見て、お昼にみそかつを食べて午後は9番。そこまでして見る価値はあるのか?十分にある。おつりがくる。
聴きどころは8番の2楽章のヘッツェルのソロだ。たっぷり弾きたいヘッツェルが突然ガクンとテンポを落とす。するとすかさず伴奏がヘッツェルにぴたっとつける。さすがオペラのオケ。そこにカラヤンが入り込む余地など、ない。

1992 ニューイヤー・コンサート*

カルロス・クライバー(指揮)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
Sony/ SRCR8857

1992年という忌わしい年の始まりは、素晴らしい幕開けだった。クライバーも消え入る最後の力を振り絞って臨んだ。ヘッツェルはイッツオールライトで、最初からふにゃふにゃの顔をしていた。みんながこんないいことはもう二度と起こらないかもしれないと思って演奏したのではないか?「天体の音楽」がこれほどまでに切なく響いたことはなかったはずだ。
もしタイムマシンで一回だけ過去に行けるとしたら、1992年1月1日、なんとしてでもムジークフェラインにもぐり込もうと思う。涙で舞台が霞んでしまうかもしれないけれど…

曲名に * のついたCDはヘッツェルが出演している旨は正式にはクレジットされていません(映像で出演を確認しています)。

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