SPECIAL
HETZELIANER

spezielles

ベーグナー氏をソリストに迎えて/ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

2005年5月4日、西宮市甲東ホールにて、Jフィルハーモニー管弦楽団の演奏会が行われた。このコンサートの目玉は、マティアス・ベーグナー(Mathias Bögner)氏をソリストとして迎えたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。
Jフィルハーモニーとベーグナー
ベーグナー氏は1962年ミュンヘン生まれ、スイス国籍のヴァイオリニスト。ウィーン・フィルの名コンサートマスター、ゲルハルト・ヘッツェル氏とヴォルフガング・シュナイダーハン氏のほか、ドロシー・ディレイ氏などに師事後、ヴィンタートゥーア管(スイス)のコンサートマスター、スイス・ロマンド管の客演コンサートマスターなどを経て、現在はソリストとして活躍中。台湾の国立台南芸術大学の教授でもある。
マティアス・ベーグナー ベーグナー氏の奏でる音楽は、まごう方なきウィーンの香りただようもの。骨太な響きと優雅で繊細な表現が目まぐるしく入れ替わるさまはまさにシュナイダーハン氏を彷佛とさせ、また、その深い精神性や音楽への鋭い切り込み加減は、ベーグナー氏が敬愛してやまないヘッツェル氏を思い起こさせる。

今回の演奏会場は非常に小さなホールで、客席とステージとの一体感はこの上なきものだった。聴衆はベーグナー氏の千変万化するヴァイオリンの音にすっかり惹きこまれてしまったに違いない。1楽章のあと、自然と温かい拍手が沸き起ったのは、印象的なシーンだった。
ベートーヴェンの自筆譜(コピー)
ベートーヴェンの自筆譜(コピー)
さらに特筆すべきは、曲中のカデンツァ。今回演奏したのは、ベートーヴェン自身がこの曲のピアノ編曲版を書いたときに作ったカデンツァを、シュナイダーハン氏がヴァイオリン協奏曲用に編曲した比較的珍しい版だ。これはヘッツェル氏がとくに好んで演奏したもので、ティンパニーのソロとの絡みが絶妙の効果をもたらす、ピアニスティックで華麗なカデンツァだ。また、今回ベーグナー氏は、ベートーヴェンの自筆譜をもとに部分的にさらに独自の校訂を加え、いわばベーグナー・エディションとも呼べるカデンツァを披露したのだった。
演奏会後半はウィンナワルツの演奏。ここではベーグナー氏はゲスト・コンサートマスターとしてコンサートに参加した。彼がひとり加わるだけで、Jフィルハーモニーのいつものウィンナワルツの演奏が、数段ウィーンに近づいたことを、オーケストラの奏者も聴衆も実感することとなった。彼のつややかな音色がオーケストラ全体を包み、進むべき方向へ無理なく導いた。至高の体験だった。 ゲスト・コンサートマスター

演奏会後にオーケストラメンバーと記念撮影
じつに幸運なことに、ベーグナー氏の承諾が得られたため、氏とJフィルとの共演はさらに続く予定だ。
次回は2006年5月6日(土)、西宮市民会館(アミティホール)、曲はブラームスのヴァイオリン協奏曲。
チケット販売時期などは2005年9月現在未定だが、決定次第、このサイトでもご案内させていただくことになるだろう。
より多くの人に、彼の音楽に耳を傾けてほしい、と思う。
(Gerade Weiher)
copyright (c) 2005 Hetzelianer